旅経験談13(桂・修学院離宮)

               2009年8月25日~8月26日

今回は1日目に桂離宮と修学院離宮を訪れ、2日目に個人的
に特別拝観を願い出ていた、神護寺の五大虚空蔵菩薩の拝観
の旅のお話です。

<8月25日>
まず両離宮とも、参観は事前予約制で、3か月前からネット
で受け付けられます。3か月前の5月1日早朝からPC前に坐
って、ヨーイドンで受付サイトにアクセスしました。まして
両離宮参観の申し込みですから、うまくいって片方だけOKと
いうこともあります。幸いに午前に桂離宮、午後に修学院離
宮参観OKの通知が来たときは、飛び上がるほどうれしかった
です。

さて当日京都駅から市バス33番で南西郊外にある、桂離宮
に向かいました。桂川を渡って桂離宮前で下車した後、竹藪
続きの塀伝いに、参観者入口に向かいました。入口に参観の
許可証と身分証明書を提示して、参観者休所に通されました
。参観者は1グループごとの案内でほぼ20名前後、外国人
の方も見受けられました。

案内の人がカギを開けた中、御幸道を進み茅葺屋根の御幸門
をくぐりました。なかには敷石がしきつめられ、御幸道をも
どって中程に折れ、茅葺の外腰掛に案内されました。腰掛の
前は蘇鉄山で、坐った右側に州浜が広がります。実は桂離宮
は、桂川の水を引き入れた池泉式庭園を中心に展開されてい
ます。

ついで池のほとりを通って茅葺入母屋造の茶室、松琴亭に至
ります。入口に後陽成天皇の筆になる「松琴」の扁額が見え
ます。廊下の竈の構えと室内の襖の青と白の市松模様が目を
引き、数寄者の自由な発想がうかがえます。

さらに池のほとりをめぐり、離宮の一番高いところに、峠の
茶屋風の賞花亭があります。また山裾にこれだけ本瓦葺宝形
造の持仏堂が異質の雰囲気を醸しています。さらに進むと田
舎家風の茶室,笑意軒があり、舟で着けられるよう、茶室の
前は切石を直線的に敷いた人工的な汀線ができています。

そうこうしているうち離宮のもう一つのポイント、杮葺きの
書院群があらわれます。古書院、中書院、新書院が雁行型に
配され、池のほとりに臨んでいます。書院の玄関には御輿寄
があり、杉苔の中、切石を敷き詰めた延段が中門から続きま
す。

古書院には、広縁から池に突き出すように竹簀子の月見台が
設けられ、蒸し暑い京都の夏を過ごすにはもってこいの場所
でしょう。また中書院の一の間には、櫛型窓の付書院と床・
棚を矩折れに配した桂棚があります。また新御殿の前に広が
る芝生は水やり不足なのか、少し赤茶けていて残念でした。

古書院の近くに杮葺きの茶室、月波楼があります。正面中央
に開放的な造りの土間があり、右手は池に面して月見もでき
る部屋があり、土間奥に茶室があります。

さて午後の目的地、修学院離宮に向かいます。なにしろ修学
院離宮は、京都東北郊に位置し、桂離宮からは、京都の街を
斜めに突っ切る形の移動になります。京都駅から市バス(例
えば17番)で叡山電鉄の出町柳駅に向かいました。電鉄の
修学院駅で降り、離宮道を歩いて、離宮の出入口前に着きま
した。予定時刻になって出入口が開けられ、休所に通されま
した。参観者は、桂離宮と同じくほぼ20人ほどでした。

離宮は、上・中・下の3つの離宮に分けられ、その間は両側
に田畑の広がる松並木の道を通って行き来します。

ふもとの下離宮には、御幸門から入り、中には寿月観と呼ば
れる杮葺き入母屋数寄屋造りの建物があり、接遇の場となっ
ていたようです。

中離宮は、内親王の御所だったところで、最初に建てられた
楽只軒は、広縁、低床の、庭と一体になれる造りです。その
後御所から客殿が移築されました。一の間には、棚板が互い
違いに配され、あたかも霞がたなびいたように見える霞棚が
あります。因みに午前中に見た桂離宮の桂棚、醍醐寺三宝院
の醍醐棚とともに、天下の三棚といわれます。

山を上ったところにある上離宮は、接遇の下離宮に対し、私
的に寛げる別荘の感じの離宮です。谷川をせきとめ造った、
浴龍池の土堤は、大刈込と呼ばれる植え込みの生垣で覆いま
す。隣雲亭には、部屋に床や棚もなく、眼下の浴龍池とまわ
りの山並みや洛中の町並みの眺めだけを受け入れ、自然と一
体化した趣です。中島に建つ窮邃亭も同じ趣向で、窓際に一
枚板の御肘寄を設け、寛げるようにしています。

浴龍池の東は山が迫っており、中島をつなぐ橋には四阿も展
開し紅葉の時に来ると、きっとよい眺めになるでしょう。対
岸の西浜は、大刈込の上に位置し山並みも望めて、東側とは
対照的な開けた景観です。昔は池の上で舟遊びも催され優雅
な趣が想像されます。

とにかく広い離宮で、芝生の手入れひとつにも、案内の人の
話では、大勢の人の手間がかかっているということで、離宮
巡りの果報をおもいます。帰りは市バス5番で四条烏丸に出
、近くの錦市場の魚屋さんの奥で活魚料理を楽しみました。
この後東山安井の民宿”さくら”さんに、今夜の宿のお世話
をいただくことにしました。

<8月26日>
今日は、神護寺の秘仏、五大虚空蔵菩薩の拝観です。事前に
はがきで神護寺さんに個別拝観を願い出、快諾いただきまし
た。今年4月のときと同じように、山門の前の石段のきつい
登りを行き合う人とはげましあいながら、山門に着き特別拝
観料(千円)を納めて、案内を乞いました。

拝観は私一人でしたが、案内のお坊さんについて、金堂奥の
山にある多宝塔の鍵を開けて、中に入れていただきました。
なかは薄暗く、全体にくすんだ感じでしたが、五体の菩薩さ
まは静かに待っていてくださいました。一体一体手を合わせ
拝ませていただきました。どなたも9世紀前半のお生まれと
いうことで、これからも末永くおわしますようご祈念いたし
ます。

拝観の帰りに鐘楼の横をすぎました。あの中に常時非公開の
銅鍾がある事情もおもんぱかりながら、いつか公開の時を念
じて神護寺を後にしました。

旅の経験談(桂・修学院離宮)はこれで終わりです。続編も
投稿したいとおもいます。最後になりますが、(株)Vector
様のサイトに「旅先情報データベース」を紹介していただい
ています。Googleほかのサイトに「旅先情報」のキーワード
で検索いただくと、紹介のサイトが現れます。このサイトか
ら上記データベースをダウンロードできますので、あわせて
ご活用いただけたらと存じます。以上