2012年夏/秋
今回は名古屋ボストン美術館日本美術の至宝特別企画展に行
ったときの話です。歴史的経緯から話すと、明治初期文明開
化の風潮下、反動で日本美術が打ち捨てられていた一時期が
ありました。その時期岡倉天心や米人フェノロサらの尽力で
日本美術品の評価、収集がおこなわれ、多くが米国ボストン
美術館に集められました。
名古屋ボストン美術館は、ボストン美術館と提携して、ボス
トン美術館の蒐集品を定期的に展示する美術館となりました
が、2018年10月に閉館されました。当館で2012年
日本美術の至宝特別企画展が催され、夏/冬季に前期/後期
の企画展があり、それに行ってきました。アメリカから里帰
りした日本美術の至宝を見られるめったにない機会です。
<2018年夏季>
地下鉄名城線金山駅を下車後、名古屋ボストン美術館に向か
いました。エスカレータで2階の展示室で受付後、展示室に
入りました。まず平櫛田中の彫った岡倉天心の像がありまし
た。つぎに法華堂根本曼荼羅図をみました。日本にあれば、
まちがいなく国宝に指定されていた、奈良時代の仏画です。
続いて国宝級の二大絵巻「吉備大臣入唐絵巻」と「平治物語
三条殿夜討巻」の展示がありました。つくづく惜しいことを
してしまった。日本にとどまっていればどんなに良かったろ
うと悔やまれるところですが、国外流出の当時は知る由もあ
りませんでした。
水墨画では拙宗等揚(後の雪舟)の「三聖・蓮図」がありま
した。また狩野派のものでは、元信の「白衣観音図」、雅楽
助(元信の弟)と伝える「松に麝香猫図屏風」、永納(山雪
の長子)の「四季花鳥図屏風」の展示がありました。長谷川
等伯の「龍虎図屏風」も見ました。
伊東若冲や曽我蕭白のものも展示がありました。若冲の「十
六羅漢図」や蕭白の「龍虎図」、「虎渓三笑図屏風」、「酔
李白図屏風」などです。蕭白は近年になって日本で評価の出
てきた画家だけに、明治初期によく拾い出した、目利きの業
のなせたところと感服しています。
<2018年秋季>
後期の展示では、まず平安・鎌倉期の仏画を見ました。平安
期の「如意輪観音菩薩像」、「大威徳明王像」などです。鎌
倉期では、画仏師、重命の「四天王像(広目天/増長天)」
などです。前期展示でみた二大絵巻の続編の展示もありまし
た。水墨画では祥啓の「山水図」がありました。
狩野派のものは、海外にも多くのものが流出しています。元
信と伝える「韃靼人狩猟図」、松栄の「京名所図等扇面」、
山雪の「十雪図屏風」、養信の「仙境・蕭史・弄玉図」など
です。若冲のものでは、「鸚鵡図」が新しく出ています。
後期展示で注目の作品は、光琳の「松島図屏風」です。後の
浮世絵に通ずる様式美を感じます。蕭白の作品は後期にも多
く出品されています。「見立久米仙人図」や「商山四皓図」
の屏風などです。「雲龍図」もそうですが、日本人離れした
蕭白のダイナミズムは、外国人にも訴えかけるものがあるよ
うです。
旅の経験談(名古屋ボストン美術館展)はこれで終わりです
。続編も投稿したいとおもいます。最後になりますが、(株
)Vector様のサイトに「旅先情報データベース」を紹介して
いただいています。Googleほかのサイトに「旅先情報」のキ ーワードで検索いただくと、紹介のサイトが現れます。この サイトから上記データベースをダウンロードできますので、 あわせてご活用いただけたらと存じます。以上